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 2008.07.14 [ 現在の歯列矯正(連載) ]
第4回 歯列矯正治療の治療時期と方法


前号までのお話で歯列矯正治療のメリットとデメリットはお分かりいただけたと思います。今回は歯列矯正治療をいつ、どのような方法で始めると良いかについてお話します。

1.子供の歯列矯正治療
子供の歯並びについて近所の歯科医院に相談に行くと「永久歯に生え変わるまで矯正治療は待ちましょう」と言われたという話をよく聞きますが、これは大きな間違いです。お子さんが7歳から10歳であれば、施せる矯正治療法があるにもかかわらず、この時期に何もせずに永久歯に生え変わるのを待っていると、顎のズレや歯並びの問題が更に重篤になります。
子供を歯列矯正医に受診させ、早期に歯並びの問題を発見させてあげることが親の責任であり、親子で協力して進めて行く事が成功のカギとなります。

子供の歯列矯正治療は、理想的には2段階で行います。この歯列矯正の2段階治療を建築に例えるなら、第1期治療が基礎工事、第2期治療がしっかりとした基礎の上に立派な建物を建てるということとなります。治療の時期を分散することで、それぞれの治療期間が短くなり、むし歯のリスク回避やストレス軽減にもなります。

1)第1期治療:限局矯正治療(7〜10歳頃)
 顎が大きくなり歯が生え変わる時期に、歯並びの治療を開始し、指しゃぶりや舌の癖等の悪習癖をなくし、顎骨の成長発育を良い方向に誘導する治療(咬合育成)を行います。これが第1期治療の最大の目的です。早い時期の矯正治療による咬合育成が、永久歯非抜歯治療の可能性を高めることができるのです。

 この年齢での矯正治療は、子供にとっては時として苦痛を感じるものです。それにより、治療を途中で放棄してしまうことがあるので、歯並びの大切さを理解させた上で、子供自身も納得して治療を開始する事が大切です。


    

    

    
        (限局矯正装置)       (クワッドへリックス)


2)第2期治療:本格的矯正治療 (12歳以降)
 全ての歯が永久歯に生え変わる12歳頃から開始する仕上げの治療になります。全ての歯に矯正装置を装着する為にむし歯のリスクは高いですが、第1期治療がしっかりできていれば、短期間でストレスが少なく治療を終えることができます。


    
         (治療前)               (治療後)

             
                   (矯正装置)

3)第1期治療を逃してしまった場合
 第1期治療をしなくても勿論本格的矯正治療は可能ですが、2段階治療と比べて永久歯の抜歯の可能性が高く、矯正装置装着期間が長くなる傾向にあります

    
         (初診時)             (抜歯後)


2.大人の歯列矯正治療

1)成人矯正治療とは
 矯正治療は小学生や10代の思春期にするものだという固定観念がありませんか?近年20歳を過ぎてから開始する成人の矯正治療が急速な伸びを示しております。特に30歳代の女性から『この歳でも矯正治療できますか?』という質問をよく受けます。基本的には口腔内が健康であれば矯正治療は何歳からでも可能ですが、成人になると悪い歯並びの長期放置により、むし歯、歯周病等の問題を抱え、欠損歯や修復物が増えるため、治療が複雑になり治療期間が長くなることがあります。成人してからの矯正治療は、親の意志で始める子どもの矯正治療と違い、目的や問題意識が明確な為、効果的に進めることができる利点があります。また全体的な矯正治療に抵抗がある場合は、MTM(部分的な矯正治療)によって口腔内環境を整えれば、長持ちする良い修復物(詰め物、差し歯、ブリッジ等)を作ることも可能になります。

    
        (初診口腔内)         (終了口腔内)


2)外科的矯正治療とは
 顔の強い左右非対称や下あごの強い突出感などが見られる、あごの骨の発育異常を総称して「顎変形症」と言い、通常歯列不正も伴います。歯並びの土台である上下のあごが大きくズレていると、矯正治療単独では治せない場合があります。そのような方は、矯正医と口腔外科医の連携による手術併用の外科的矯正治療により治ります。
顎変形症手術は顔貌の劇的な変化をもたらし審美性が高まりますが、美容整形とは目的が異なり、咬み合わせを構築するのが最大の目的です。勿論口の中での手術になりますからお顔には傷は残りません。手術の歴史は古く、しかもそれを受ける方が多いため、術式も確立されており安全な手術です。ただし、これには約1週間の入院と全身麻酔のリスクがあるためご家族の同意が必要になります。

            

    
                  (初診時)


            

    
                 (治療終了後)


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 人の感じる美しさには様々な価値観がありますが、残念ながら日本では歯並びに対してまだまだ意識が低いのが現状です。鏡に映ったご自分の歯並びをよく見てください。『少しぐらいデコボコでもいいや』『噛めるからいいや』『痛くないからいいや』…忙しい現代人は仕事や日常生活に追われ、歯並びが気になっていてもつい後回しにしがちです。矯正治療は長くかかるからと躊躇し、何年か経って「あの時始めていればもう終わっていた」と後悔するより、積極的に矯正治療を始めて流れに乗ってしまえば、時間はあっと言う間に過ぎて必ず良い歯並びを得ることができます。自分自身が歯並びに興味を持ち、治したいと思った時こそが、歯列矯正を始めるタイミングです。

 整った歯並びは、見た目も美しく、自信を持った笑顔は人に好印象を与えるため、最近は企業面接やオーディションでも歯並びを重要視しているようです。歯列矯正治療は健康を手に入れるだけではなく、人生を前向きにする力があると言っても過言ではありません。

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