歯列矯正治療によってもたらされること
■食物をきちんと咬む
人間誰もが幸せと感じる美味しいものを口にするときに、正しい咀嚼(そしゃく) 無しにはその幸福も半減してしまいます。歯列不正はその原因の最たるもので、きちんと咀嚼できないと、食物の本来の味を引き出せないまま飲み込んでしまっているといえます。
■歯の寿命を高める
他県の歯科医師会等の調査では8020運動 達成者の多くは歯並びが整っているという結果が見られました。「自分の歯で咀嚼する」という日常当然のように感じることは、いざ歯が抜けてしまったというときになって始めて実感すると聞きます。この原因である虫歯や歯周病を軽減するには正しい歯の清掃が必要不可欠で、またそのためには清掃性の高い整った歯列も必要です。
■審美性の改善
口元が顔全体のイメージに占める割合は非常に高く、歯並びの悪さを気にするあまり人前で笑えないといった心理的負荷は、社会生活に大きな影響を与えかねません。
矯正歯科医院とは何をするところ
歯列不正を伴った方が整った歯列を得るためにどのような治療をするかは、その状態によりさまざまです。骨格的なことも治す必要があるかもしれません。あるいは口元を後ろに下げたり前に出したりといった顔つきを変える治療を行うかもしれません。将来の歯並びが悪くなるのを予想し、予防的な矯正治療をすることもしばしば見られます。
歯列の状態により治療法は多岐に分かれますが、矯正歯科医院の目的はきちんと咬むことのできる整った歯列を得ることです。

治療時期・治療期間
歯列矯正治療は歯を動かすだけではありません。顎骨の成長に過不足や不正が見られるようであれば小学校入学前に治療を行うこともあります。また逆に骨の成長を追って見てゆかねばならない場合、高校生ごろまで治療を遅らせることもあります。一概には言えませんが小学校低学年のうちにカウンセリングを受けるのが将来的に最も安全なのではないでしょうか。
中学生、高校生はもちろん、成人であっても治療は十分可能です。
治療期間はその内容により大きく変わりますが、歯はゆっくりと骨の中を移動してゆくので、一般的に年単位の期間を要します。来院間隔も一般的な歯科治療に比べると長く、1ヵ月毎、2ヵ月毎、あるいは半年毎などとなります。
デメリット
きちんと咀嚼できる整った歯並びがデメリットとはなりませんが、そこに到るまでにしばしば不快と感ずることを伴います。
・歯を動かすときに生ずる痛み
・矯正装置が目立つこと
・歯磨きが困難になること
・会話や咀嚼の障害となること
・治療完了までに長期間を要すること
・治療内容によっては歯を抜いたり、顎の骨を切ったりすること
これらはよく起こる問題ですが、治療法や器具の進歩とともに改善されてきており、また治療に慣れてくると日常生活で大きな障害になるというほどではありません。
歯列矯正治療の方法
■第1期治療
主に小学生やそれ以前に行う矯正治療です。この時期の治療は、可徹式装置 、固定式装置あるいは歯を動かすもの、顎骨の成長をコントロールするものなど、治療の目的によりさまざまな装置に分かれます。また多くの場合第2期治療に移行します。
■第2期治療
永久歯が生えそろってからの仕上げの矯正治療です。抜歯を必要とする治療はこの時期に行います。歯周組織が健康 で永久歯が生えそろっていれば基本的に年齢は問いません。

■外科手術を伴った矯正治療
顎変形症を伴う場合 第2期治療の途中で顎骨を分離して前後に移動する、入院を伴う外科手術を必要とする場合があります。

■MTM
補綴治療 のため、あるいは一部分だけの矯正治療。概ね12ヶ月以内の短期間で治療が終了します。
■保定
動かした歯は必ず戻ろうとします。整った歯列をできるだけ長く保つためには、動かしてきた期間かそれ以上の間とどめておく必要があります。
歯列矯正治療の流れ

治療費について
基本的に矯正治療は健康保険が適応になりません。したがって治療費は医院によって違います。県内では一般的な治療で70万円~100万円が相場のようです。
<健康保険が適応になる場合>
唇顎口蓋裂などの先天的 な障害がある場合。
顎変形症で矯正治療に外科手術を必要とする場合。